生花祭壇を使った葬儀、お花に囲まれた旅立ちを

 何れの古代文明にも然るべき神が存在し、人の力を超えた何かを神に願い、祈祷が行われました。
 その際、神への捧げ物を供える台が祭壇の起源です。従いまして祭壇とは、神、聖霊、や死者等に犠牲や供え物を捧げる壇を指して言います。
 その祭壇を風雨から守る為に屋根や壁が設けられ、その後の神殿、教会、寺院、神社として私達の生活の中で発展しました。

儀式の様子

祭壇のイメージ

 又、古くは葬送儀礼に於ける祭壇は控え目な小机でしたが、明治時代以降、葬送儀礼の中心が葬列から葬儀式・告別式へと変化する中で、葬儀式場の祭壇は、より大きく華やかな形へと変化して行きます。
 そして現代では、華やかさを型作る素材は、形式的な白木祭壇から事後にも有効利用が可能な生花祭壇へと変化して参りました。
 最近多く頂くコメントは "会葬者は身近な方のみで良いが、ご自分が好きだった花に囲まれて旅立ちたい"と言うものです。

宗教により異なる祭壇

祭壇の形態

祭壇の形態は多様にわたります

 祭壇の形態は板状の自然石を用いた石壇、土壇(インドの仏教は土壇が始まり)、石を積み上げて作る石積壇、地面に獣の皮やコモを敷いて作る祭壇など多様に渡ります。当初は自然物をそのまま使用したり、簡単な加工を加えた祭壇でしたが、神殿の建設が可能になると、培われた技術をもとにした複雑な構造の祭壇も造られて行きました。
 祭壇の形式、形状は宗教により異なります。ちなみに世界最大の祭壇は中国北京市東城区に位置し、明国の永楽帝が1420年に建立したとされる天地壇が御座います。その敷地面積は273万㎡(約東京ドーム60個分)です。

板状の自然石を用いた石段、土を盛り上げて作る土壇、石を積み上げて作る石責檀、地面や獣の川やコモを敷いて作る祭壇

仏教の祭壇

仏教に於ける祭壇としては

須弥壇

枕飾り

中陰壇

仏壇

葬儀壇

葬儀壇

葬儀壇のイメージ

盆に設置する精霊棚

などが御座います。

神道の祭壇

常設されるようになった神棚

 神道に於いて、古くは常設の祭壇は無く、正月など適時行われる祭事の際に歳棚が設けられて居りました。神棚が常設される様になるのは中世以降のことです。
 神社内で神像を祀る場合は、神像を中心に屋根で覆ったり、厨子や乗輿を用いて祠をつくるのが一般的です。

 神社の神が自然物の場合などでは、石で囲んだり(磐境)、神拓地に常磐木を立てて神座としたり(神離)、特別に壇を設けない場合も祭壇と位置図けられます。又、仏教の仏壇と同様に故人様をお祀りする場合は、神棚の他に祖霊舎を設けます。

ヴァチカン
サン・ピエトロ大聖堂 祭殿

 キリスト教では聖堂内に於いてミサ聖祭を行う台を祭壇と呼びます。但し、正教会の至聖所にある聖体礼儀が行われる台は祭壇とは呼ばず宝座と呼ばれます。
 キリスト教の祭壇はイエス・キリストの"最後の晩餐"で使われた食卓を模ったもので、材料は石と定められて居りました。
 しかしながら現在では木製や金属製の祭壇も許されて居り、各種の装飾も施される様に成りました。

葬儀に於ける祭壇

祭壇の位置付け

祭壇の位置付けに付いては色々な考え方が有ります

故人を思う

 宗教儀礼としての葬儀に於ける祭壇の位置付けに付いては色々な考え方が有ります。
 仏教であれば"仏を供養する事によって得られる功徳を故人様に振り向ける"事から祭壇の中心は仏様の本尊であります。
 キリスト教では故人が地上での罪を許されて神のもとに召される事を神に礼拝する事から、祭壇の中心は神となります。
 そして、告別式は故人様とご遺族・会葬者の方々とのお別れが中心となりますので、祭壇の中心は故人様のご遺体となります。

 現代では、葬儀式と告別式は同時に行われるのが通例となって居りますので、祭壇の中心は御本尊と故人様が同時に祀られる形となって居ります。但し、キリスト教ではあくまでも祭壇の中心は神となります。勿論、無宗教葬の場合は故人様が祭壇の中心にお祀りされる事と成ります。

日本の仏教に於ける葬送儀礼の変遷と祭壇

お人柄に合わせた生花祭壇も流行の一つ

 葬儀壇とは葬儀式に使用される祭壇を指しますが、特定ご宗派の場合は御本尊を祀り、故人様を偲び供養する為に、ご位牌、ご遺影写真を安置し、お供物を供える為に用います。
 仏式の葬儀の場合は、祭壇の前に経机が置かれて、葬具がその上に置かれます。
 神式の場合は、経机に代えて饌案が置かれて、洗米、酒、塩、水、その他生饌が配置されます。
 葬儀壇は、伝統的に白木祭壇が用いられて来ましたが、近年は後々にも有効活用出来る花祭壇が好まれる様に成りました。

祭壇のイメージ

生花祭壇のイメージ

 ひかりの杜では花祭壇を主としてお薦めし、故人様やご遺族様がお好みのお花や季節を表わす生花利用して、オリジナリティの高い祭壇でお手伝いをさせて頂いて居ります。

 尚、生花祭壇は仏式、神式、キリスト教式に拘らずご利用頂けます。

生花祭壇のご利用

 生花祭壇を用いる例は、以前では著名人のお別れ会や社葬など、大規模な葬儀に限られて居りましたが、現在では家族葬等の小規模な葬儀でも利用できる様に成りました。費用的にも白木祭壇より廉価な費用でご採用頂けます。
 又、花祭壇で利用したお花は故人様のお柩を飾る御花として使用させて頂くと共に、忌中の後飾りに利用する生花やご仏壇の仏花としてもご利用頂けます。

おすすめです

生花祭壇に使用するお花

 生花祭壇を構成するお花は白菊や白のカーネーションなどが主体でした。これは葬儀を荘厳な式にする為のデザインの一つでした。
 しかし、現代では故人様の人生を表わした彩が求められる様になり、お好みのお花を組み合わせた生花祭壇をお受けする事も多くなりました。
 又、バラやあざみなどトゲを持つ花で祭壇を飾る事はタブ-とされて居りますが、ひかりの杜ではご希望頂ければ全てのトゲを取りさった上で祭壇のお花としてご利用頂く事もしばしば御座います。

祭壇のお花のイメージ

生花祭壇

水仙の生花祭壇

 水仙が華やぐ季節は12月~2月ですが、寒い冬のご葬儀で黄色の水仙を白い花祭壇のアクセントとして飾らせて頂いたり、黄色の水仙を中心とした花祭壇をデザインさせて頂く事も御座います。
 尚、水仙の花言葉は"うぬぼれ、自己愛"です。水仙は西区の区花でもあります。

水仙

 現代では花見と言えば桜を思い浮かべますが、この習慣は江戸時代に一般化したものです。それ以前の平安時代など花見は梅を前提としていました。
 ひかりの杜では生花祭壇を飾らせていただく際、2~3月の季節時にはご希望によりご遺影の周囲に梅の枝をお供えし、祭壇全体をより高潔な雰囲気にデザインさせて頂きます。梅は港北区の区花でも有ります。

かざりイメージ

梅の生花祭壇

梅の花

  チューリップが華やぐ季節は3月~5月ですが この季節 ご葬家様のご希望に合わせて お好みの色のチューリップを 生花祭壇のアクセントとしてデザインさせて頂だいて居ります。チュ-リップの花言葉は “思いやり”、中区の区花です。

かざり

チュ-リップの生花祭壇

チューリップ

 桜の花の華やかな季節は3月~4月です。薄いピンク儚げな花は日本人の心に染みる花でもあります。この季節に"今年の桜も見たかった"と名残りを残した故人様のため、ひかりの杜では祭壇に安置された故人様のご遺影の周りを桜の花で飾らせて頂いております。あるいは家族葬でお柩の周りを桜の花で囲んでお見送りケースも御座います。桜の花言葉は『精神の美、優美な女性』、南区と戸塚区の区花でもあります。

桜の生花祭壇

桜の花

 西洋にはギリシア神話を由来とした花言葉もあります。花の女神フローラの息子パラリソスが恋人のニンフを失ってしまい、悲しみでやつれて最後には死んでしまいます。フローラはそんな息子を不憫に思い、彼の姿を早春一番に咲く「桜草」に変えたと語られています。そのため「桜草」は『悲しみや死のシンボル』とされています。季節となる4~5月には焼香台に置かれたご遺影の周りを可憐な桜草で飾らさせて頂いて居ります。

かざり

桜草の生花祭壇

さくらそう

 菖蒲は水と緑をイメージした花で、その華やぐ季節は5月です。
 菖蒲の花言葉は"良き便り、吉報"でお見送りの儀式には相応しくありませんが、美しい紫の花は生花祭壇を荘厳するに相応しく、紫を主体とした祭壇をデザインする際には利用させて頂いて居ります。

かざり

菖蒲(あやめ)の生花祭壇

あやめの花

 桔梗が華やぐ季節は6月~9月です。万葉集の中で秋の七草と歌われている可憐な紫の花ですが、残念ながら絶滅危惧種に指定されて居ります。暑い夏のお見送り儀式の中で、一涼を感じさせるお花でも有ります。

かざり

紫陽花の生花祭壇

あじさい

 紫陽花の華やぐ季節は梅雨時期の6月~7月です。紫陽花は開花の後、順次色が変化して行くお花です。従いまして、その中から色々な色を利用する事が出来ます。白い花祭壇のアクセントとして大変便利なお花です。紫陽花は瀬谷区の区花でもあります。

かざり

桔梗の生花祭壇

桔梗

 牡丹の華やぐ季節は多くの種が有り、種により季節が異なる為、トータルとしては非常に長く10月~5月となります。
 牡丹は立てば芍薬、座れば牡丹の言葉通り花の中の女王です。生花祭壇の中では赤や紫の牡丹 を貴重なアクセントとしてデザインさせて頂いて居ります。

桔梗